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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)582号 判決 1950年7月27日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は上告人の負担とする。

理由

弁護人村上富士太郎上告趣意第一点について。

犯人に実刑を科するため、その家族が生活困難に陥るとの所論をもつてその裁判は憲法二五条に違反するものと解することはできない。そのことはすでに大法廷の判例とするところである(昭和二二年(れ)第一〇五号同二三年四月七日判決参照)。右と反対の見地に立つ所論には賛同することはできない。論旨は理由なきものである。

同第二乃至第四点について。

主食の輸送を刑罰を科して禁止する所以は、それが食糧の需給調整を妨げ或は配給の統制を乱す等の素因となるからである。さればそれが罪とならない場合は食糧管理法施行規則二九条に列挙している場合に限るのであって、同条列挙の事由の存しない限りたとい主食の所有者が自家消費のために輸送する場合であっても犯罪の成立を妨げるものではない。しかも、所論は第三点の論旨とともに単なる法令違反を主張するものであり、また第四点の所論は量刑の不当を主張するに過ぎないものであって、いずれも刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。論旨はすべて採用に値しない。

なお同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同法四〇八条一八一条に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 齋藤悠輔)

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